デザインとアートは混同されがちですが、アートが「自己表現」であるのに対し、デザインは「依頼主(クライアント)の要望に応じたデザインをする」仕事です。そのため、デザイナーは自分の好きなようにデザインするのではなく、クライアントの求める作品(ポスター・商品の箱・家電の外見など)を作成(デザイン)することが大切です。

それでは、デザインにはどんな種類があるのでしょうか。
雑誌や新聞、駅や電車・バスなどの社内で見かける広告やポスター、お店の商品のパッケージ、Webページにゲームのキャラクター……。私たちの身の回りにはデザインされたものがあふれています。

それだけ、デザイナーの仕事は幅広いということになります。
デザインの仕事を幾つかのジャンルに分けて紹介します。

紙に描くなど、主に平面的なデザインをする仕事

グラフィックデザイナー

グラフィックデザイナーは、ポスターや雑誌などの印刷物やWebページなどを、写真やイラスト・文字などでバランス良くレイアウトしデザインする職種です。立体ではなく平面的なデザインを行うのが特徴です。ロゴマークや文字そのもののデザイン(レタリング)も含まれます。広告を扱うことが多いので、クライアントがターゲットとする層にアピールできるよう、世の中のトレンドに敏感である必要があります。
デザインする媒体によってエディトリアルデザイナー・パッケージデザイナーなど、特化した名前で呼ばれることもあります。

エディトリアルデザイナー

エディトリアルデザイナーは、雑誌や新聞のように、ページ数が多い印刷物の誌面をデザインする仕事です。アピールポイントが分かりやすく、かつ読者が読みやすいように文章や写真をレイアウトします。
1ページの構成だけでなく、媒体全体の構成を考えるのも大切な仕事です。

装丁家(そうていか)

本の表紙や帯などをデザインする仕事です。書店に数多く並んだ本の中から、自分の装丁した本を手に取ってもらうためには、本を買いに来たお客様の目を引く、内容の魅力を伝えるなど、カバーデザイナー(装丁家)が考えるべき内容は多岐にわたります。小説や漫画などを「表紙買い」する人もいるほど、本にとって装丁は大切なものです。また、本の内容を理解し、それを魅力的なデザインに落とし込むためには、デザインスキル以外に読解力も求められます。

パッケージデザイナー

パッケージデザイナーは、商品のパッケージをデザインする仕事です。お菓子やドリンクなどの食品、洗剤や消臭剤などの日用品、ドライヤーや掃除機などの家電など、様々な商品の外箱や容器のデザインを担当します。
例えば、新しく発売されたお菓子がおいしいかは食べてみるまでわかりません。そこで、お客様に「一度食べてみよう」と思わせるパッケージが大切になってきます。その商品の魅力を伝えるために、色・形・文字やイラストの配置など、デザイナーが気を配るべき点はたくさんあります。
また、パッケージは必ずしも四角い箱とは限りません。売り上げに繋がる形の提案も時には必要になってきます。

イラストレーター

イラストレーターは、クライアントの要望に合ったイラストを描く仕事です。雑誌やポスターなどに使われるイラストだけでなく、Webページやゲームの背景やアイテムなどのイラストも扱います。「10歳前後の子どもが好みそうな可愛い印象の絵」など、クライアントからの依頼に応じて描き分けられる画力も必要です。イラストレーターとしての個性が求められる場合を除き、指示通りの絵を描くことが仕事になります。
中には精密機械(コンピュータや家電・自動車など)の内部を詳細に描くことを専門とするテクニカルイラストレーターなど、特定の分野に特化したイラストレーターもいます。
グラフィック系のソフトとペンタブレットを使って描くケースも増えてきており、ツールを使いこなす技術も必要になってきました。

Webページやゲームアプリなどに使われているデザインをする仕事

webデザイナー

webサイトのデザインを考えるのが主な仕事になります。クライアントの要望を実現させるために「Illustrator」や「Photoshop」などのグラフィックソフトを使い、サイトをデザインします。ナビゲーション用のボタンの配置やリンクの構成・サイト全体の配色など、ユーザーの使いやすさを考えながらデザインする必要があります。
ゲームやショッピングサイトの良し悪しは、ユーザーの使いやすさ(UI=ユーザーインターフェイス)に左右されることも多く、UIを専門に扱うデザイナーもいます。

ゲームデザイナー

企画の立案から、世界観や演出の方向性、キャラクターやアイテムのデザインなど、ゲームの基本設計を行う仕事です。ゲームの細かい仕様が決まったら、プログラマーやグラフィックデザイナー、シナリオライターなどのスタッフと協力しながら実際にゲームを作っていきます。デザインだけでなくプランニング能力が必要とされる仕事です。

CGデザイナー

CGデザイナーは、2次元や3次元の映像・画像を制作する仕事です。最近のCGは実写と見分けがつきにくいレベルに達しており、映画(実写・アニメーション)やゲームなどの作品で多用されています。CGには静止画だけでなく動きのある動画が求められることも多いため、立体的なデザインが必要になることもあります。
また、エンターテインメント系に限らず、建築物や機械の図面などもCGで作られることがあり、プロダクトデザイナーにもCGのスキルが求められるようになりました。

商品そのものをデザインする仕事

プロダクトデザイナー

プロダクトデザイナーは、私たちが購入する家具・家電・文房具・車などの様々な製品をデザインします。実際に人が使う「もの」なので、見栄えが良いデザインであることは必要ですが、機能性や使いやすさ、安全性なども同時に追求しなければなりません。
いくらデザイン性に優れていても、持ちにくいコップや運転しにくい自動車では意味がありません。機能面を担当するエンジニアと外観を担当するデザイナー、そしてマーケティングなどの販売計画を立てる企画営業職など、多くのスタッフが協力して製品を作りあげることになるので、コミュニケーション能力は欠かせません。
インダストリアルデザイナーと呼ばれることもありますが、その場合は自動車・飛行機・産業機械などの工業製品のデザイナーを指すことが多いようです。
インダストリアルデザイナーとしてメーカーに勤務する場合は、企画部や製造部などへ所属されることも多くあります。

公園やモールなどの空間をデザインする仕事

建築デザイナー

建築士と混同されそうな建築デザイナーですが、建築士が建物の構造や設備を設計するのに対し、建築デザイナーは依頼主の要望を聞き、建築物の外観や内装などをデザインする「意匠設計」を担当します。建築デザイナーになるための資格は特にありませんが、建築士が構造設計から意匠設計まで任されることもあるので、建築士の資格を取得していた方が有利といえます。デザイン系の学校でも建築士の資格が取れる学科があるので、調べてみても良いでしょう。

ディスプレイデザイナー

ディスプレイデザイナーは、店舗のショーウィンドウやイベント会場など、コンセプトに合わせたコーディネートやデコレーションを行う仕事です。ショーウィンドウのディスプレイが店舗の集客を大きく左右するのは、皆さんもお分かりだと思います。
商品をより魅力的に見せるためには、注目を集める商品の配置・組み合わせ・装飾などのコーディネートを行う必要があります。そのため、担当する店舗のコンセプトやターゲット層、販売戦略などをしっかりと理解したうえでディスプレイを設計する必要があります。

環境デザイナー

環境デザイナーは、私たちの周りの環境、例えば公園の整備や街並みの設計など、自然に配慮したデザインを行います。デザインを実現させる庭師や大工などの職人とも打ち合わせを重ね、実現できるものできないものを見極めて可能な範囲でどのようにデザインするかを考える必要があります。県や市などの公共団体からの依頼で働くことも多い仕事です。
環境デザインは、広義には建築・インテリア・プロダクト・グラフィックなど、環境に配慮した幅広いデザイン分野を含みますが、一般的には公園や広場などの公共空間をデザインすることを指します。


デザインの仕事に興味がある場合は、専門学校や大学でデザインについて学ぶことができます。
専門的な知識やスキルに加えて、以下のような能力も求められます。

  • 発想力と創造性: 新しいアイデアを生み出し、形にする能力。
  • 美的センス: 色彩、形状、配置など、美的感覚に基づいたデザインを行う能力。
  • コミュニケーション能力: 顧客やチームメンバーと円滑なコミュニケーションを図る能力。
  • プレゼンテーション能力: 自分のデザインを効果的に伝える能力。
  • 問題解決能力: デザイン上の課題を解決する能力。
  • 最新のデザイントレンドを把握する能力

ご自身の興味や適性に合ったデザインの仕事を見つけ、創造性を活かして活躍してください。

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